「ミドルエイジ~シニアのモバイルECの行方」タイトル

2012年7月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆89時間目
「ミドルエイジ~シニアのモバイルECの行方」

皆さんこんにちは、飯野です。先日、携帯電話各社の2012年夏モデルが発表されました。驚いたのは、ドコモから発表された全20モデルの中にiモード対応のフィーチャーフォンが1台もなかったことです。つい1年前までは、キャリアの関係者からも「スマホの普及が進んでもフィーチャーフォンのニーズは残る」という声を聞いていたものですが、今後はキャリア側も確実にスマホにシフトしていく方針のようです。これからは若い人達だけでなく、ミドルエイジからシニアまでもがスマホを使う時代になるでしょう。そこで今回考えてみたいのが「ミドルエイジ~シニアのモバイルECの行方」です。モバイルEC企業がこのシニア層にどのように対応していけば良いのかを、今後のモバイル業界の動向を予想しながら、考えていきたいと思います。



2012年夏、「らくらくホン」がついにスマホ化

図1)2012年夏発売予定の「らくらくスマートフォンF-12D」

今年のドコモの夏モデルでは、あの「らくらくホン」までもがスマホになっていました(図1)。「らくらくホン」とは、ご存知のとおり、初心者及び50歳以上の高齢者層をターゲットに作られた、大きなボタンやシンプルな画面が特徴のフィーチャーフォンです。他の機種の高機能化が進む中、シンプルなコンセプトが保たれてきた「らくらくホン」は、発売当初からシニアの間で大人気となり、2011年には累計販売台数が2,000万台を超えたと発表されました。私の予想では、市場は1,000万台以上出回っており、ドコモの携帯を使っている約5人に1人以上が「らくらくホン」ということになります。

近い将来、2千万人の「シニアスマホ市場」が出現

今後は、フィーチャーフォンの「らくらくホン」を使っているシニアが徐々にスマホに機種変をしていくことが予想されます。シニアがフィーチャーフォンを買いたいと思ってドコモショップへ行っても、そもそも選択幅が少なくなっている状況なので、しょうがなくスマホに変えなければならない環境もできているようです。auとソフトバンクも当然ドコモを追って、次期は「らくらくホン」に当たる機種をスマホで出してくるでしょう。そうすると、実際の市場規模は2,000万人以上になってきます。その時に、今のままF1,F2層ばかりを追いかけているような企業は確実においていかれてしまうでしょう。 これからは、「2,000万人のシニアスマホ市場」をターゲットにする企業が続々登場してくると思います。既にアマゾンや楽天などの大手企業のスマホサイトでは、大きな字、大きなボタン、大きな画像が中心になってきています。今後はますますシニア層を見据えたシンプル化が進んでいくでしょう。今、全てのネット販売企業は、「シンプルで使いやすいスマホサイトを作ること」に注力していくべきだと思います。

今、狙うべき層は「ミドルエイジ&シニア」

図2)スマートフォン保有状況、保有意向(複数回答)

実際にミドルエイジやシニア層は、スマートフォンのことをどう思っているのでしょうか。2012年3月のIMJモバイル社の調査結果によると(図2)、スマホを保有しているのは20~30代が最も多くなっていますが、60 ~80代の回答者の3割以上が、「現在保有していないが保有したい」と回答していることが分かります。このミドルエイジからシニアにかけてのスマホ保有意向は、この夏の「らくらくホン」のスマホ化をきっかけに、今後一気に伸びてくると思います。

「2人に1人が50歳以上」の時代はすぐそこに

総務省の人口推計によると、2012年5月の概算値で、0~49歳が全体の56%、50歳以上が44%という結果が出ています。これから高齢化や少子化によってますます50歳以上の比率が増加していき、「2人に1人が50歳以上」という時代はすぐに訪れます。EC企業も、この「2人に1人」のマーケットを見過ごすことは出来ないはずです。
EC企業はまず、シニアの手前の「ミドルエイジ」を狙ってサイトを作ることが得策だと思います。スマホがシニアにまで完全に浸透するのはまだ少し先ですが、ミドルエイジは既にスマホを使い出しています。皆さんのサイトでは、フィーチャーフォン向けに作った10代20代向けのサイトを、そのままスマホに表示させていませんか?そうであれば、スマホはもっと大人が使っているものと認識を改めて、サイト上の表現を変えたほうが良いでしょう。

ミドルエイジ~シニアを意識してサイトを作る

スマホは、本来はもっとミドルエイジやシニアに使われてもいいツールだと思います。極端に言えば、フィーチャーフォンをものすごい速さ連打しているような10代よりも、シンプルな操作を好むシニアに向いていると思います。
例えば、ミドルエイジやシニアがPCを使いこなせない理由は、マウス操作が大きなネックの一つであるといわれています。シニア向けのパソコン教室では、「ダブルクリックしてください」と言っても、早く手を動かすことができないため、「ワンクリック2回」になってしまうそうです。その点、スマホにはマウスがなく、押したいところを直接指で触るだけなので、PCと比べても操作が楽なはずです。今後ミドルエイジがスマホサイトを触りはじめるようになったとき、自社サイトのCVRが徐々に下がり始めたならば、その原因はサイトのユーザビリティーやデザインにあると思ったほうがいいでしょう。この現象(フィーチャーフォンとの比較)は、ミドルエイジ参入に関わらず計測できます。実際フィーチャーフォンよりもCVRが悪いスマホサイトは、すぐに改善をされることをお勧めします。ユーザーのスマホリテラシーが当初は低いから、という甘えた理由も少し考慮したとしても、ユーザーが機種変している今後1,2年はこの状態が続くわけです。売上が一時的にも落ちるのはもったいないです。

スマホのデザインは「シンプル イズ ベスト」

先日、世界一iPhoneアプリを売っている会社の社長の話をお聞きする機会があったのですが、彼が強調していた言葉は「シンプル・イズ・ベスト」。ショッピングサイトも同じだと思います。スマホは高機能なので、サイトの設計でもつい色々なことをやってみたくなるものですが、決して複雑にしてはならないのです。高齢者や初心者がついて行けないサイトは、自ら商売を放棄しているといえます。このアプリ会社では、例えば28歳のエンジニアが作ったゲームアプリを、上下ひと回り違う16歳と40歳の人に30秒間見せて、何のゲームか分からなかったら即、ボツにするそうです。ショッピングサイトでも、これからは20代30代だけでなく、ミドルエイジとシニアを基準にしてサイトを作ることが重要になってくると思います。「文字は大きく」、「ボタンは指の幅よりも大きく」、「直感で分かるデザインにする」、「紛らわしい表現は使わない」、「無料なのか有料なのか明記する」…など、まさに「らくらくホン」のように、万人が操作しやすいスマホサイト作りを心掛けていきたいものです。


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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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