「サイト検証・・・テスト項目の作り方」タイトル

2011年2月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆72時間目
「サイト検証・・・テスト項目の作り方」

皆さんこんにちは。飯野です。今回のテーマは「検証」です。ここで言う「検証」とは、作ったサイトが正常に動くかを確認するテスト作業のことです。「検証」がケータイサイトの完成度を決めるといっても過言ではありません。今回も、弊社の開発スタッフの現場の声を聞いてきました。何年もケータイサイトを作り続けてきた彼らならではのチェックポイント、失敗談、そこから見つけ出した成功へのルールなどを紹介していきます。



必ず実機で確認を!シミュレーターに頼らない

ケータイサイトの検証を行う際、まず用意しなければならないのは携帯電話の実機です。当たり前のことのように聞こえますが、これをやらない会社が時々あります。実際のところ、実機がなくてもサイトの開発自体はできます。HTMLを書いてシミュレーターで確認する、この方法でもそれなりにサイトの形は出来るのです。しかし、サイトが正常に動くかどうかはまた別の話です。

携帯電話のブラウザを偽装して表示できるシミュレーターソフトはいくつかありますが、実際に実機に表示させるときにはキャリアのゲートウェイを通してからとなるため、シミュレーターとは動作が変わってきます。どの程度変わるかというと、HTMLの記述方法によってはページ自体が表示できなくなる程です。シミュレーターでは表示できても実機で表示できないことは、日常的な更新作業でもよくあります。よってシミュレーターで検証できるのは、テキストの確認程度だと覚えておいてください。特に通販サイトでは、購入の途中で表示できない状態にでもなれば致命的なことになりますので、必ず実機で確認するようにしましょう。

何機種で検証すれば良いのか?

実機検証の例

では、実機と言っても何機種で検証すれば良いのでしょうか。現在、市場に出回っている機種は数百種類にのぼり、それら全てで検証を行うことは不可能です。そこで、その中から何機種かを選んで検証を行うことになります。弊社ではメーカーやシリーズ(ドコモであれば900シリーズやPRIMEシリーズなど)、世代(通信速度の違い)などの観点から主要端末を選び、各キャリア最低2~3機種で検証を行うようにしています。その例を以下に紹介します。

基本的に、各キャリアの新旧機種からそれぞれ選んでいます。キャリアによっても傾向が異なり、ドコモはこの二つでほぼOK、auはこの二つ以外にも発売時期で数端末、追加するのがベスト、ソフトバンクは機種ごとのバラつきが最も多いがシェアが少ないことからまずはこの二つ、という風に考えています。とはいえ携帯電話は日々、進化していますので、我々も案件ごとに見直しを重ねていっています。最近では、2009年に発売された機種で不具合が出たことがありました。新機種だからといって扱いやすいとは限らないのです。

これらの端末を全て用意するのは大変ですし、古い機種はお店でも売っていませんので、端末のレンタル会社を利用すると良いでしょう。キャリアの公式サイトになっていればキャリアの検証施設を使うことができますが、多くの企業はそうではないと思うので、レンタル会社が便利です。インターネットで「携帯 検証」と検索すると、通話用のレンタル会社ではなく検証用に新旧機種を取り揃えている会社が出てきます。

補足ですが、スマートフォン向けのサイトを作る場合はまた違ってきます。弊社では、スマートフォンはOSのバージョン別に検証するのが良いと考えています。iPhoneのバージョン3と4、Androidのバージョン1.6、2.1、2.2、今はこの5パターンが基本です。日本ではスマートフォンの中ではiPhoneが一番使われているのでiPhoneに合わせていれば良いだろうと思いがちですが、iPhoneとAndroidのブラウザはまるっきり別物です。弊社の経験上、特にAndroidはiPhoneよりもバージョンの違いによる差が大きく現れます。スマートフォンは今後、確実に伸びてくる市場なので、今から重視していくことをお勧めします。

携帯独自の操作やカスタマイズ機能を想定する

ケータイサイトとPCサイトは違う、と今まで何度も言ってきましたが、あえて今回も言わせてもらいます。今回注目したいのは、「携帯の機能をカスタマイズしているユーザーを想定してテストを行う」ことです。まず、メール受信時の対応。携帯では、サイトを閲覧している最中でメールが届くと、画面に割り込む形で受信が表示されます。購入の途中で会員登録等の確認メールが送られてきて、割り込み受信されたメールをついクリックしたら、サイトに戻って購入できなくなった、という経験はないでしょうか。逆に、メールをクリックしないと先に進まないサイトがあり、ユーザーが端末の設定で「メール受信をバックグラウンドで行う」などにしている、つまり設定をカスタマイズしていてメールが割り込み受信できない場合、先に進めないということも考えられます。割り込み受信のような機能は完全に携帯独自のものであり、しかもユーザーが独自にカスタマイズできるようになっているため、そこまで想定してあらゆるパターンで検証を行う必要があります。

その他にも、PCにはないが携帯電話には必ず付いている「戻る」ボタンがどこで押されても問題がないか、名前や住所の入力フォームに絵文字が入力されたらどうなるのかなど、携帯独自の色々な操作で検証するようにしましょう。

弊社のエピソード~失敗から学んだこと

これまで弊社で行った検証での、失敗談を紹介します。

その一、「検証箇所を増やしすぎて大変になった」。数年前ですが、より多くのユーザーを取り込もうと2G端末まで対応機種にし、しかもほとんど全ページを検証の対象としたために検証箇所が膨大になり、時間も費用も予想以上に膨れ上がったことがあります。今では2Gでショッピングサイトを使うユーザーはほとんど皆無なので対応は必要ありません。また、検証する箇所ですが、全ての機種で全ページを見る必要はありません。特定の機種で全ページを見れば、他の機種では、機種毎に違いが発生する可能性が高い箇所をピンポイント的に検証すれば良いのです。どれだけページ数を多く見るかということよりも、重要な箇所をどれだけ深く見るかが大事です。

PCと携帯の画面遷移の違い

その二、「ページ単位のテストに重きを置いたため、“流れ”のテストができていなかった」。これは、テスト項目書をページ単位で作っていたため、購入遷移などの“流れ”で確認できていなかったということです。PCサイトであれば下記の図のように、1画面の中に名前やメールアドレス、住所など項目をまとめて入れることが可能ですが、携帯では何画面かに分かれる場合がほとんどです。その間に「戻る」ボタンを押したり、さらに戻ってから入力内容を変更したりした場合のテストができていませんでした。

その三、「テストだからといって“テスト”としか入力していなかった」。とある有名人への応援メッセージを投稿してもらうページを作成したことがあるのですが、その際、テキスト入力欄に「テスト」とだけ入力して異常がなかったのでページを公開しました。ところが実際の投稿では、絵文字や記号、機種依存文字など様々な入力パターンが発生し、それらの入力を想定してページを作っていなかったため、エラー画面が出たり次のページに進めなかったりという障害が起こってしまいました。これを教訓に、例えテストでも「本当に入力されそうな内容を想定して行う」ということを徹底するようになりました。皆さんはこのような失敗をしないよう、気をつけてくださいね。



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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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