「モバイルのユーザー投稿活用術」タイトル

2010年4月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆62時間目
「モバイルのユーザー投稿活用術」

皆さんこんにちは。飯野です。今月のテーマとは直接関係ありませんが、最近、衝撃を受けたニュースがありましたのでお知らせします。先日、au関係者とauのコンテンツプロバイダ(公式サイトを提供している企業)が一堂に会する「auコンテンツフォーラム」へ行ってきたのですが、そこでのKDDI幹部の講演で出た話題です。auのユーザーがサイトへアクセスするとき、「キャリアの検索窓から探す」が約70%、それに対し「メニューリストからたどって探す」が7%だというのです。それ以外はQRコードなどからのアクセスだそうです。モバイルに検索窓が登場したのがほんの3年前、つい最近までも「メニューリストからたどって探す」ユーザーが多いと言われていましたが、これが今の実態です。ドコモとソフトバンクも恐らく同様の状況でしょう。メニューリストからたどって探すユーザーはもういないも同然です。では、公式サイトになる意味はもうないのか?というとそうではありません。キャリアの検索結果で上に表示されるのは、引き続き公式サイトだからです(ソフトバンクは星マークで強調される)。むしろ、キャリアの検索窓を使うユーザーがこれだけ増えてきている以上、公式化はSEO対策の一つとして非常に重要であると言えます。

また、検索からサイトへアクセスされるキーワードで多いのは「サイト名」で約20%を占めるそうです。サイト名がいかに重要かわかりますね。サイト名はわかりやすさを第一に。できれば英語よりもカタカナが良いですすね。お店の名前や売れ筋の商品名にするのも良いでしょう。同様に多いキーワードが、「新宿」や「池袋」といった「地名」だそうです。外で利用する機会の多いモバイルならではの結果です。細かいSEO対策は本屋に売っているSEOの本を読んでもらえればと思いますが、このような現場の情報は是非サイトに活かしていただきたいと思います。

それでは今月のテーマに入っていきましょう。



ユーザーは基本的に投稿が好き

今月のテーマは「ユーザー投稿活用術」です。

これは通販サイトではありませんが、若い女性向けの化粧品関連サイトで、ユーザー投稿機能が成功している例を紹介します。このサイトでは製品の紹介をメインにしており、製品に対するユーザーのコメントを投稿できる機能を付けることにしました。1~3つの星マークで製品の評価もできるようにしました。最初は、「投稿があまりにも少なかったらどうしよう」「ネガティブなコメントばかり来るのではないか」「掲示板のように荒れたらどうしよう」などと心配していました。ところが実際に始めてみると、それらは全くの杞憂に終わったのです。投稿は放っておいてもどんどん集まり、中には一度に複数の製品に投稿してくれるヘビーユーザーもいます。また、発売前の製品に対して「パッケージがかわいい」「早く欲しい」など、ユーザーの製品への関心の深さがうかがえる投稿も多数ありました。公序良俗に反する投稿はこれまでほぼ0です。つまり、わざわざサイトへ来てコメントを書いてくれるようなユーザーは、ほとんどがそのサイトのファンだということです。

またこのサイトでは、投稿すると何か特典を与えているわけではありません。何もメリットがないにも関わらず、勝手に良質の投稿が増えていっているのです。ここでわかったのは、ユーザー、特に女性は基本的に「誰かに何かを伝えたがっている」ということ。顔の見えない相手に対しても、自分の良いと思うものを勧めたり、知識を提供したりすることに楽しさを感じられるのです。特に、子供の頃からこういったモバイル文化に触れてきた10代にこの傾向は顕著です。このサイトもメインターゲットが10代ですが、10代前半からのまるで友達にメールをするような屈託のない投稿が目立っています。モバイルだからこそ手軽に投稿してくれるのです。

逆に、投稿することに特典を与えてしまうと特典目当ての投稿が増えてしまい、投稿自体の信用度を保つことが難しくなってくるので注意しましょう。

投稿のハードルを低くして投稿数アップ

より多くの投稿を集めるために工夫したことは、「会員登録を必須にしないこと」。SNSなどの投稿中心のサイトでは基本的に会員登録が必須ですが、ショッピングサイトなど、あくまでも投稿が中心ではないサイトでは、投稿に会員登録を必須にするほど細かい情報は必要ありません。それよりも、気軽に投稿してもらって投稿数を増やしていくことが大事です。前出のサイトでは会員登録を入れず、ニックネームと投稿文、評価の星マークのみで投稿できるようにしたことも成功の要因だと言えます。投稿を増やすために特典を与えたりするよりもまず、投稿の際に会員登録が必須になっていないか、余計な質問は入っていないかをチェックして、投稿のハードルを低くすることをお勧めします。

ネガティブな投稿をさせない工夫

また、ネガティブな投稿をさせないように次の二つの工夫をしました。一つはコンテンツ名です。単に「クチコミ」とするとネガティブな投稿も来ると考え、「おすすめコメント」というコンテンツ名にしたのです。「おすすめ」とうたうことで、自然にポジティブなコメントが集まるのです。二つ目は、評価の星マークを選択させるときの表示順を、一番上から星3つ、2つ、1つというように多い方から並べたことです。こうすることで自然に星3つを選んでもらいやすくなっています。

ユーザー投稿を販促ツールとして活用

ユーザー投稿はモバイルだけでなくPCや実店舗でも利用することができます。店頭のPOPに雑誌の切り抜きが貼ってあるのをよく見かけますが、あの代わりに「お客様の声」として、モバイルに寄せられたユーザーのコメントをそのまま貼るのです。ただし、投稿を利用する際には必ずユーザーの承諾を得ること。投稿フォームの中に「投稿はウェブや広告で二次利用させていただく場合があります」などと断りの文章を入れるようにしましょう。これで、お金をかけずに販促ツールが作れます。

投稿文から購入への導線も忘れずに

投稿コンテンツを充実させるのは良いことですが、目的はあくまでも売上を伸ばすことだということを忘れないで下さい。ページを作る際には、投稿文のすぐそばに「この商品を買う」というリンクを設置するようにしましょう。投稿文を読んだユーザーがその商品を欲しくなったらすぐに、買い物カゴに入れられるようにしてください。投稿文を読んだ直後が、買ってもらう最大のチャンスです。実際はリンクから一旦商品ページへ戻り、色やサイズを選択してもらうわけですが、リンクの文言は「製品ページへ戻る」よりも「この商品を買う」としたほうが強いです(図参照)。「製品ページへ戻る」だと、「一度戻るのか…」とユーザーを一瞬、億劫にさせてしまいます。それよりも、「この商品を買う」と表示してユーザーの買いたい気持ちを受け止めるようにしましょう。このような細かい配慮の積み重ねがコンバージョンを左右します。

レコメンドから購入への導線(誘導率が高いのはどちらでしょう?)

(参考)自動的にSEO対策

最後に、ユーザー投稿を利用したSEOのコツを紹介します。その内容は、「ユーザーの投稿文の最初の20文字をタイトルタグに設定する」というものです。これは、プログラムによって投稿各ページに自動で設定することが可能です。これまで投稿文を見てきた中では、モバイルの短い文章の中でユーザーは投稿文の最初に要点を打ち込んでくることが多いため、冒頭から引用することが有効だと考えました。まだ実験段階なので結果は出ていないのですが、この施策により、ヒットするキーワードが増えるのではないかと予測しています。



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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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