「これで本当に使いやすいのか?ユーザーとサイト製作者側の感覚のブレをなくす」タイトル

2010年1月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆59間目
「これで本当に使いやすいのか?ユーザーとサイト製作者側の感覚のブレをなくす」

皆さんこんにちは。飯野です。この連載を始めてもうすぐ5年になりますが、その間モバイル業界は本当に色々なことがありました。端末の進化やケータイでのインターネット利用の拡大に伴い、ユーザーの使い方もどんどん変わってきています。昔のように、ケータイは若者だけのものという感覚はますます薄れ、制作者側が考える以上に、年齢や生活環境によって様々な利用パターンが出てきています。昔は便利だと思っていた機能が使われなくなったり、ある層には使いやすくても、他の層には使いにくかったり。今回はそのようなポイントをチェックしながら、ユーザーの感覚とサイト制作者側の感覚のブレをなくしていきたいと思います。



空メールはもう古い?

メルマガなどでユーザーのメールアドレスを取得する際、空メール登録を利用しているサイトは多いと思います。以前は私も空メールと入力フォームの両方を用意することを勧めていましたが、傾向が変わってきたようです。最近関わった、とある10代女性向けの情報サイトのメルマガ登録画面で空メールと入力フォームの両方を用意したところ、入力フォームから登録したユーザーのほうが多かったのです。恐らく入力フォーム上で、電話帳やオーナー情報を「引用」する機能を使って簡単に入力したのでしょう。少なくとも若い世代にはこの使い方が浸透しているようです。出始めた頃は、「モバイルならでは」「早くて便利」という印象のあった空メールですが、実際はどうなのでしょうか。ここで、空メールと入力フォームのメリット、デメリットを整理して検証してみたいと思います。

空メールと入力フォームのメリットとデメリット

■空メール
<メリット>
・ 引用機能を知らないユーザーにとっては、メールアドレスを一文字ずつ入力する必要がないので楽。
・ 入力ミスが少ない。
・ メールボックスに残るので安心感がある。
・ 登録の中でメールの送受信を行った際、ドメイン指定受信をしていればメールが送られてこないため、その時点でドメイン設定を解除しなければならないことに気付くことができる。
<デメリット>
・ メールを立ち上げて送信し、その後受信して登録確認をする場合、一度サイトを閉じるか機能を切り替えなくてはならないため、途中までアクセスしていたコンテンツから離脱しなければならない。
・ メールを送信した時点で終わりだと思い、登録を完了できずに途中で終わってしまうユーザーが出る。空メール機能はふつう、「空メールを送信」⇒「サイトからのメールを受信」⇒「メール本文内のURLをクリックして登録完了」、という手順を踏むサイトが多いが、それがわからないユーザーもいる。

■入力フォーム
<メリット>
・ 引用機能を使い慣れているユーザーにとっては、空白の入力ボックスが使いやすく間違いも少ない。
・ 空メールのように、メールの送受信によってサイトを閉じる必要がないので、サイトからの離脱を防ぐことができる。
<デメリット>
・ 引用機能を知らないユーザーは、メールアドレスを一文字ずつ打たなければならないので手間がかかる。
・ 一文字ずつ打つ場合だと入力ミスが発生しやすい。
・ ドメイン指定受信をしていた場合、登録過程としてメール送受信を行う空メールでの登録と違い、自分がドメイン指定を行っていることに気づかないことがある。

まとめるとこのようなところでしょうか。現段階では、空メールと入力フォームの両方を用意するのが得策だと思います。空メールと入力フォームのどちらを上にするかは、サイトのユーザー層によって考えてみて下さい。若いユーザーが多ければ引用機能が浸透している可能性が高いので入力フォームを上にしたり、逆に40代以上ぐらいのユーザーが多ければ空メールを上にしたりと、色々試して検証してみると良いでしょう。やってみて効果が出なければすぐに戻せばいいのです。

変わっていくユーザビリティ

引用機能を使い慣れたユーザーは、住所や電話番号まで引用で入れることもあります。あらかじめ自分の情報を電話帳などに登録していれば可能なことです。そんなユーザーにとって最も使いやすいのは、空白の入力フォームなのです。このようなユーザーが増えれば、今は便利に感じられる郵便番号からの住所の自動入力なども、将来は不要なものに変わっていく可能性もあります。端末の機能の発達によって、ユーザビリティも変わっていくのです。

変わっていくユーザビリティの一つとして、昔はよく見かけましたが消えつつあるのが「最初からドメインが入っている入力フォーム」です。引用機能を使いなれたユーザーにとって、あれほど使いにくいものはありません。最近では少なくなっているようです。入力フォームのあとにプルダウンでドメインを選択するタイプも同じです。それでも親切にdocomo、ez、softbankとシェアの高い順にドメインが表示されていればまだいいですが、律儀にアルファベット順に並んでいたりすると、ソフトバンクはずいぶん下までプルダウンを動かさなければならず、非常に不便です。未だにこういうサイトは相当昔に作られたものだと思います。

ユーザー視点は一種類ではない

何にしても大切なのは、常にユーザーの立場になってサイトを使ってみるということです。最近、空メール以外でも、ユーザー視点の大切さを感じたことがあります。「情報が多すぎないか?」ということです。最近はモバイルでもSEO対策を行うサイトが増えてきて、フッターに各ページへのリンクを何個も付けたり、明らかにSEOのためにテキストを増やしていると思われるサイトが目立つようになってきました。今これを読んでいる方の中に、もしそういう作り方でサイトを作っている方がいたら、隣の席の方でも誰でもいいので、サイトの運営に関わっていない人に、今すぐサイトを使ってもらって感想を聞いてください。その人が使いやすいサイトになっているでしょうか?情報量が多いサイトにありがちなのが、情報をきちんと整理しないでひたすら追加していった結果、似たようなページが増えてしまい、ユーザーを迷わせてしまうパターン。そして、情報が多すぎて本当に伝えたい情報が埋もれてしまい、サイトの特長を活かしきれていないパターンです。

こんなサイトはもったいないです。是非一度、サイトの大掃除をしてみることをお勧めします。情報を整理して、サイトの目的からぶれていないかを確認しましょう。ぶれた情報があるとコンバージョンを落としてしまいます。明らかに使われていないコンテンツがあったら、思い切って削除することも必要です。そこでユーザーが離脱してしまったら、コンバージョンにマイナスだからです。

規模の大きいサイトでタイアップやらキャンペーンやらに日々追われていると、情報を詰め込むことに意識がいってしまい、シンプルであることの使いやすさを忘れてしまいがちです。時々は隣の人にサイトを試しに使ってもらい、常に第三者の意見を聞くようにすることが大切です。弊社では、社内でサイトをチェックし合うときに「18歳の女子高生」とか「35歳で幼稚園の子どもがいる主婦」とか「都内で一人暮らしの22代男性フリーター」とか、できるだけ具体的に人物を想定するようにしています。それでも実際にユーザーの投稿や利用行動をチェックしてみると、こんな使い方をするのか!と驚くこともしばしばです。特に女子高生や女子中学生のモバイルの使い方は日々進化しているといっても過言ではありません。ユーザーの行動を探ることは日々、勉強です。

こんなケータイサイトは古い!今すぐ見直そうチェックリスト

・メールアドレスの入力欄に最初からドメインが表示されている。
・買い物カゴに商品入れるだけでログインを求められる。
・アクセスキー(「次へ」は「#」など)の導入を考えたこともない。
・サンクスメール、リマインドメールがない。



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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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