「モバイルサイト設計で迷うポイント」タイトル

2009年11月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆57時間目
「モバイルサイト設計で迷うポイント」

皆さんこんにちは、飯野です。最近は東京だけでなく全国の地方都市へも仕事に行くことが増えてきました。現地の担当者の話を聞くと、一部の大企業を除いては、モバイル事業への投資はまだまだこれから、という印象を受けました。9月に福岡で開催されたモバイル・ビジネス・サミットではドコモのコンテンツ担当部長の原田氏が、これからは地方の時代だと言っていました。私も、これからは全国各地の企業がモバイルを活用して売上を伸ばしていく、そんな時代が来ると思います。もちろん大企業だけでなく中小企業も。この連載が、そのような企業のお手伝いに少しでもなれば嬉しいです。

前置きが長くなりましたが、今回も定番のユーザビリティについて勉強していきたいと思います。テーマは、「どちらがいいのか?必ず一度は迷うポイント」。ショッピングサイトならどんなサイトにも当てはまることだと思うので、是非参考にしてみてください。



カード番号の自動表示に抵抗がある?

ショッピングサイトで最も重要で、設計するときに最も頭を使うところ…それはカートに入れてから購入が完了するまでの流れです。ここをどれだけ使いやすく出来るかが売上に影響します。ユーザーの離脱が特に多いのが、入力項目の多い個人情報の画面です。エラーが出て再入力になるたびに、ユーザーはどんどん脱落していきます。エラーを出さずに正しく入力してもらうには、入力例を明確に示したり、入力方法(例えばプルダウンにするのかラジオボタンにするか等)を厳選したりすることが必要だと、これまでも言ってきました。今回はもう一段階使いやすくすることを考えてみたいと思います。

ほとんどのショッピングサイトには、決済方法としてクレジットカードがあると思います。クレジットカード番号をその都度入力するサイトがほとんどなのではないでしょうか。それはユーザーにとってはけっこう手間のかかることですが、最近の大手ショッピングサイトでは、このクレジットカードの番号入力を省くところが増えています。一度そのサイトでクレジットカードでの購入経験があり(もしくはカード番号をあらかじめ登録)、ログイン状態であれば、カード番号を最初から表示させてしまうのです。このとき、下4桁だけを番号を表示してあとは「XXXX」で表示させます。このようにしてその都度入力することなしに購入できると、格段に使いやすくなります。代表的なところではアマゾンや楽天がこのような方式になっています。個人的にも、クレジットカードを財布から出して番号を見ながら入力して…という行為が必要ないので本当に楽で、ちょっとした休憩時間でも電車の中でも、ついつい買ってしまうのですが。これに使い慣れると、カード番号入力を要求してくるサイトが非常に使いづらく感じるようになります。 カード番号を自動表示(下4桁)させる際に気をつけなければならないのは、必ず住所氏名やカード番号が表示される前に、パスワードなどの本人にしか分からない情報を1箇所は入力させることです。商品をカートに入れる段階でいちいちパスワードを聞く必要はありませんが(まだこういうサイトが沢山あります)、個人情報入力の前に必ず入れることが大事です。アマゾンでは、ユーザーIDは自動表示されてもパスワードは必ず聞かれるようになっています。もっとも、公式サイトになるための審査を通るときには、こういうところが徹底的にチェックされますが。

このように「入力しなくても表示される」という機能は便利である一方、自動で表示されることに抵抗を覚えるというユーザーがいることも事実です。この辺りは企業の個人情報保護に対する考え方にもよりますので、迷うところでもあります。ただ、アマゾンや楽天ほどのサイトでこの機能を取り入れているということは、これからはカード番号を自動表示(下4桁)させるのが当たり前になっていく可能性があると思います。その都度入力をさせているサイトは大手でもまだ沢山ありますが、同じ商品を扱っているなら、買いやすいサイトにユーザーは流れていきます。個人情報保護のためとはいえ、比べてみてください。携帯電話を落として他人にショッピングサイトを使われ、パスワードを当てられて不正利用される可能性と、アマゾンのようにカード番号を自動表示させて簡単に購入できるようにし、売上がアップする可能性を。

何でもかんでもFlashでいいのか?

弊社でもよく相談されるのが、「サイトのFlash化」についてです。携帯のFlashで有名なものといえばマクドナルドのクーポンです。女子高生の二人に一人は使っていると言われています。クーポン同様、マクドナルドのモバイルサイトはトップページも他社に先駆けて登場したFlash画面として有名です。これを真似てトップページをFlash化しているサイトが続々と出てきましたね。

しかしここで、Flashはかっこいい!使いやすい!と安易にFlash化を進めてしまうことは危険です。特にショッピングサイトでは。ここで立ち止まって考えてほしいのです。Flashには良い面も悪い面もあります。良い面としては何と言っても見た目のインパクト。携帯電話向けのFlashサイトには7割が好感を持っているという調査結果があります。しかしその一方で、誤操作による不満の声も結果として出ています(以上2009年IMJモバイル調査)。Flashサイトでは、通常のHTMLサイトのように携帯の戻るボタンで戻ろうとすると、直前のページではなくFlashの前のページに戻ってしまい、サイトから離脱してしまうことがよくあります。Flashに好感を持ったユーザーが7割とはいえ、その中で果たしてどれだけのユーザーが最後までFlashを使いこなせているのでしょうか。

また携帯サイトにおいては、Flashでの表現は汎用性が少ないという面があります。マクドナルドのトップページのように簡潔なメニューで、常に一定のデザインで見せるようなサイトではFlashは適していますが、常にセールやキャンペーンを行ったり毎日特集をアップしたりするようなショッピングサイトでは、Flashを頻繁に更新するのは非常に手間がかかります。また、携帯で物を売るにはデザイン性重視のFlashよりも、折込チラシのようなベタなテキスト表現のほうが合っています。 このようなことから、弊社では大手サイトでもトップページの全面Flash化などはお勧めしていません。実際、キャリア公式のショッピングサイトでトップページがFlashのところはほとんどありません。

ビックカメラの商品検索ボックス

しかし中には、サイトの中でFlashをうまく取り入れているところもあります。公式サイトのビックカメラでは、商品検索にFlashを導入しており、ユーザビリティも工夫されています。[図1]をご覧ください。これはビックカメラのトップページの商品検索部分です。検索ボタンの前に、「HTML表示」というチェックボックスがあります。これにチェックを付けると検索結果がHTMLで表示され、チェックを付けないとFlashで表示されるようになります。Flashが苦手な方はHTMLで見ればいいし、非対応端末にもHTML表示することで対応が出来ています。実際にFlashで検索結果を見てみると、次の商品への画像の切り替わりが早くて快適でした。ただやはり油断すると途中で戻るボタンを押してしまいトップページに戻ってしまうなど、まだユーザー側に「慣れ」を要求する部分がありました。そういうときのために、HTML表示用のチェックボックスで切り替えが出来ることは重要だと思います。というようにFlashはまだ上級者向けの感はありますが、このビックカメラの商品検索は画期的ですので、是非一度見てみてください。これからもっと携帯のFlashが使いやすくなる可能性が秘められていると感じました。

また、これまで携帯サイトのFlashは検索エンジンに認識されにくいためSEO対策を考えるとFlashを使わないほうが良いとされてきました。しかし最近では、Flashページ作成時に同時にHTMLページを自動生成し、Flash非対応機種や検索エンジンのクローラーには自動生成されたHTMLページを表示させることが出来るというサービスも登場しています。マクドナルドでもビックカメラでもFlash非対応ページが用意されており、非対応端末にはHTMLページが用意されるようになっていました。新サービスを導入する際には、常に非対応ユーザーのことも考えておくことが必要です。



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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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