緊急レポート-モバイルビジネスサミットより-タイトル

2007年8月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆30時間目
緊急レポート-モバイルビジネスサミットより-

皆さんこんにちは、飯野です。今号は、7月6日~7日に福岡で行われた「モバイルビジネスサミット2007」の様子をご報告します。完全招待制のこの会合には総勢150名が参加。モバイルベンチャー社長達を筆頭に、総務省、キャリア、Googleなど多彩な顔ぶれでパネルディスカッションが行われました。そこで、モバイルビジネスをリードする主要企業の方々の貴重な意見の中から、特に興味深かったディスカッションを中心に、私の意見を交えながらレポートしていきます。



モバイルの「検索」の現状

まず、ネット検索する際にユーザーはいくつのワードを入れるかという興味深い調査結果が発表されました。 それによると単ワード(1語)検索率はPC40%、携帯75%ということです。つまり、携帯では4分の3のユーザーが1語しか入力しないで検索しているということです。そして検索結果が違った場合、PCでは、ワード追加(絞り込み)が66%、別のワードを入れ直すが28%という結果に対し、携帯では、絞り込みすることなく別のワードを入れ直すが51%にのぼり、ワード追加(絞り込み)は33%と、PCとは逆の使い方をする傾向があるようです。
携帯で多いのは、「着メロ」「画像」といったエンターテインメント系のコンテンツ名での検索で、特に1語で「着うた」がとても多いとのこと。公式サイトでもこういったコンテンツ名からの流入が多くなっていますが、コマース系のサイトはコンテンツ系に比べてまだ検索ワードからの流入は少ないようです。
これは当然の結果だと言えます。というのも、ユーザーの視点から見ると、携帯で検索しても、希望の情報が取れないという悩みがあると同時に、企業側も携帯サイトをこれから作ろうとしていたり、検索対策などはまだまだといった実情があるからです。よって、必然的に希望のサイトにたどり着くのは至難の業というのが実情なのです。

モバイル検索は時期尚早?

パネルディスカッションでは様々な視点から仮説や現状の報告がありましたが、どれもモバイル検索に関しては、時期尚早というのが私の実感です。コマース各社とも苦労していると言えるでしょう。
所詮、3キャリアに付いている検索エンジンルール(ドコモ=独自エンジン、KDDI=Google、ソフトバンク=Yahoo!)に縛られていて、公式サイトに優位な表示ロジックが入っています。またキャリアポータルメニューからの流入数が非常に大きいため、結局、各企業はこのキャリアのルールにビジネスを左右されてしまうという悩みが付きまとうのです。
PCと携帯ではアルゴリズムに違いがあるので、PCのSEOをそのまま携帯で行っても通用するとは限らないということも話題になりました。私もまったく同感です。よほどブランド名が高いか、訴求力の強い商品名を持っている企業以外のサイトは、ユーザーが「検索後、即購入」となることは今の段階ではないと私も思います。
モバイルのSEOに関しては、実際、少しいじっただけで、自社サイトが検索結果の順位で容易に上がるサイトもあれば、いくらいろいろやっても上がらないサイトもあります。モバイルの場合は元々、公式サイトというビジネスがあった中で検索が後から出てきたため、それ以前に作られていたサイトがまだ検索エンジンに対応されていないという現状もあります。
特にCMS(コンテンツマネジメントシステム)を使っているサイトはCMSの作りによって大きな影響を受けており、CMSによっては全く検索に引っ掛らないものもあればきちんと対応しているものもあるという報告もありました。

テクニックよりも「携帯」自体の熟知が重要

携帯に関しては、SEO対策を行っても費用対効果が読めないといいます。PCではユーザーがクリックした経路を追うことができますが、携帯ではキャリアのシステムでユーザーのデータをカットしてしまうので、PCのように追うことは現状では不可能と言われています。
ただ、その分からない中でも地道に仮説検証を繰り返し、売り上げを上げているサイトもあります。携帯SEO特有のテクニックというよりも携帯のことをどこまで知っているかがむしろ重要と言えます。PCのSEOのテクニックをいかに携帯キャリアの状況に合わせて、最適な経路を見つけ出していくかが大切だということです。
KDDIのキャリアサポートサイト「スパイス」にはSEO対策のテクニックが記載されているので、公式CPになっている企業の方は是非一読してみてください。

「R25式モバイル」、行動導線への焦点がカギ

コマースにも活用できる興味深い話もありましたのでご紹介します。パネルディスカッションで紹介された、リクルートの「R25式モバイル」の事例です。
このサイトは「無目的層」という明確なターゲットを設定し、多数の媒体からアプローチすることで会員獲得に成功しています。サイト名にもある「R25」は毎週40万部を発行しているフリーマガジンで、ターゲットは20~34歳のM1、F1層。このターゲットは実は広告主が一番獲得したい層だそうですが、テレビも見ていない、新聞も読んでいない、雑誌も読まない――というのが特徴だといいます。そのため、この層に確実にリーチできるメディアを代理店が欲しがっていたので立ち上げたのが「R25」なのです。
リクルートは「R25」において、ただ単にフリーマガジンを発行するだけでなく、「行動導線」にポイントに置いています。これはコマース企業にも参考になるところだと思いますので、報告しておきます。
彼らが行ったことは、ターゲットの人が朝起きてから会社に行って家に帰るまでを1つの行動導線としたときに、複数のメディアを渡り歩いて1日を過ごす中、その行動を全部マークしていってコンタクトポイントを獲得してきたといいます。「R25」という冊子だけではなくて、冊子を提供するラック、電車の中吊り、駅の改札ステッカー、さらに携帯電話と、複数のメディアを組み合わせて内容を提供することによって内容理解度が上がるという考えを持っています。冊子の発行は週1回なので、その他の時間や起床時や就寝前などの隙間時間に「R25」を見てもらうために携帯サイトを作ったそうです。
いかがですか?コマース企業にもヒントが隠されていると思いませんか?例えば、あるカタログ通販の企業が携帯からもお客を取りたいとき、そのカタログ以外に、そのお客の1日の行動のうちどこでその商品や企業とお客の接点を持たせるか、という視点です。具体的には商品自体にQRコードを付けたり、配送した箱の中に携帯へのアクセス案内チラシを入れたりといったことです。
また「R25式モバイル」のでは、トップ画面を朝、昼、晩の1日3回、変更するそうです。お客が1日のうち時間帯によって欲しい情報が異なるという考えのもと、サイトもそのように運営しているとのこと。このあたりはコマース企業も是非見習いたいところですね。

最後に大手2社の実例も簡単にご紹介しておきます。(数値も公表されておりましたが、ここでは割愛させていただきます)
「ANA」・・・航空券のPCと携帯の受注比率は大半がPCとのこと。しかし購入のタイミングはPCの場合、搭乗の1週間前から前日までの予約が多いのに対し、携帯は断然前日から当日搭乗分の予約が多いそうです。
これは通販企業にも当てはまると言えます。そのときしか買えないもの、時間が限られているものなどは、まさに携帯ならではの買い方でしょう。運用面では、お客の声をダイレクトに携帯サイトに反映していく努力をしていて、担当者が毎日、サイトリニューアルをかけているとのことです。
「コカコーラ」・・・世界ブランドの企業が話していたのは、「アテンション」はリアルの世界とPCが向いていて、携帯は向かない。一方、「プッシュ」は携帯が断然向いている。これが確立できるとベストだ――ということです。まさに携帯を使ったメール訴求は、今後ますます成功事例が出てくることでしょう。「携帯コマース業」は「メールアドレス獲得業」と私は確信しています。
次号は「飯野版・モバイル白書」と題して、この1年の携帯事情のおさらいをしたいと思います。



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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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