「主要3キャリアの07年のコマース戦略」タイトル

2007年2月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆24時間目
「主要3キャリアの07年のコマース戦略」

皆さんこんにちは、飯野です。今回は、昨年11月末に開催されたモバイルコンテンツフォーラム主催のモバイルビジネスイベント「mobidec2006」における3キャリアの部長講演から、各社の今年のコマース展開をまとめます。きっと皆さんの事業戦略のヒントになるはずです(内容は前号予告から変更させていただきます)。



「検索して即購入」の時代が来る──KDDI

Google導入後、EZwebポータルからの検索件数は約2.5倍に増加しています。他社検索サイトの利用者を取り込むことでポータルの集客力向上につながり、検索連動広告の収入も拡大。さらに、検索環境がオープンになったことで、ダウンロード系コンテンツを中心とする公式サイトへのアクセス数は増加傾向を維持しています。
そこでPCと同様、SEO対策が重要になってきます。現在、携帯3キャリアに検索ツールが入ったことによって公式サイトは集客力が落ちていると考えられているようですが、検索が入ったことによって、逆に、今までより上がっているのです。
今後の強化ポイントは、コンテンツとコマースの横串連携です。ポータルで本、ゲーム、音楽などあらゆる情報を提供し、ユーザーが目的に辿り着いた時にコンテンツと物品両方の購買を提案します。今は音楽や本が中心ですが、今後はジャンルを拡大していくとのこと。コンテンツ間の連携と、さらに物販といかに連携させるかを重視して展開していく考えとのことです。

<KDDIのポイント>
(1)番組連動型コンテンツの提供
(2)SEO対策
(3)ダウンロード系コンテンツと物販コンテンツの連携

ユーザーにとって本当に便利なサービスを──ソフトバンクモバイル

結局、Yahoo!ケータイはどうなのか──。コンテンツプロバイダー(CP)からの質問が最も多かったのがソフトバンクモバイルに対してでした。ソフトバンクMでは、PCのサービスの中でも特に事業モデル的に成功しているものを携帯向けにカスタマイズしていきたいという考えから、Yahoo!と組むことしたといいます。
ソフトバンクMの公式サイトへのアクセス方法としてYahoo!ケータイの中に(1)メニューリスト(2)検索(結果は公式サイトが上)(3)「オススメ」(現在は音楽、ゲーム、コミック、壁紙のみ)――の3つがあります。現状では、今までボーダフォンを使っていたユーザーは(1)メニューリストへのアクセスが多く、新規ユーザーは、一発でアクセスできて便利という理由からYahoo!メニューへのアクセスが多いですが、今後は新規ユーザーがもっとメニューリストを使えるようにしたいと考えているようです。
一方で、Yahoo!という大きなポータルサイトの登場によって、天気やニュース、路線情報などの課金コンテンツを展開しているCPが不利になっているのも事実です。Yahoo!ケータイではこれらのコンテンツを無料で提供しているため、そういったCPのソフトバンクMにおける売り上げは下がっているのです。
しかしそれ以外の公式コンテンツの売り上げは伸びていて、総合的に見ると、Yahoo!ケータイ登場後のCPの売り上げは伸びているとのこと。今後はソフトバンMならではの環境を活かし、CPからの様々な事業モデルの提案を柔軟に取り入れていきたいようです。
さて、気になるYahoo!検索のユーザー動向について明確な発表はなく、先読みするのはまだ早いという考えです。ソフトバンクMとしては、急いでYahoo!ケータイをスタートさせたこともあり、検索でサイトが本当に便利になったのか、ユーザーにとって本当に便利なサービスとは何かなどを考える必要があると認識しているようです。ただし、検索を始めとするYahoo!ケータイのユーザビリティーや、勝手サイトと公式サイトの線引きのルールなど、整備には時間がかかるのが現状です。
ソフトバンクMは今後も、「Yahoo!ケータイサービス+ソフトバンクMオフィシャルコンテンツ」の2つを柱とする方針。特にコミック、ゲーム、音楽といったメディア系や、コミュニティ系のコンテンツに力を入れ、この双方を活かした「人と人とをつなげるサービス」を増やしていきたいと強調します。

<ソフトバンクMのポイント>
(1)PCと携帯のサービスの融合
(2)コンテンツとメディアの融合
(3)ユーザーにとって本当に便利なサービスを考える

「少し遠くにあるもの」が売れる──ドコモ

現在、4,700万人のiモードユーザーの内3,000万人が3G端末を利用し、その内27%がパケット定額制に加入しているNTTドコモ。端末の高機能化、通信スピードの高速化、料金プランの多様化の3つが揃った今、コンテンツ利用が非常にアクティブになっているといいます。それに伴いコマースサイトの売り上げも増加。パケット定額制に加入すれば料金を気にせずに、ずっとネットショッピングができるためです。
ただし、どんな商材でもユーザー受けするわけではなく、携帯で物を売るためのポイントがあります。まず、本やCDなど「見なくても文字で分かるもの」。携帯はテレビや雑誌に比べるとメディアの中では非常に見づらいツール。一番の特徴である“24時間持っていること”を除くと、画面も小さく、他のメディアに勝っているとは言えません。
それを逆に利用して、“携帯ならでは”を出していくことが必要になります。見なければ分からないものは細部写真の掲載、ユーザーレビュー、限定セール等のプレミアム感のある商品提供、メルマガ――などの工夫が必要。また「送料無料」や「ポイント制」によるリピーターの確保は非常に効果的です。
それとPCと同様、売れる商品の傾向は自分の生活圏から「少し遠くにあるもの」。つまり本や並行輸入香水など、例えば東京ならば新宿や渋谷まで買いに行くような商品が売れています。また、まとめ買いできるもの、ずっと買い続けるものが売れるのも特徴です。身近なコンビニエンスストアにもある商品はあまり売れません。
さらには、「プレゼント」「セール」「限定商品」がキーワードになります。これらの言葉を効果的に使えば、ユーザーを誘導しやすくなります。
ユニークユーザーは20~30代の女性が圧倒的に多く、カテゴリ別に見ると、ショッピング/チケットでは20~30代、ファッション/コスメは10代が多いという結果が出ています。ドコモでは、各サイトにはそれぞれのユーザー層に合った商品のコーナーを作るなどの工夫を勧めていて、ショッピングは今後ますます面白くなるカテゴリと考えているようです。

<ドコモのポイント>
(1)キーワードは「プレゼント」「セール」「限定」
(2)「少し遠くにあるもの」が売れ、「コンビニにあるもの」は売れない
(3)ショッピング/チケットは20~30代向け、ファッション/コスメは10代向けの商品が受ける

3キャリアによる予測の共通項は「携帯コマースは今が成長期」ということ。物販だけでなくダウンロードコンテンツやメディアとの連携、携帯ならではの商材、売り方の研究、SEO対策など、私たちがやらなければならないことは、まだたくさんありそうです。今年も一緒に勉強していきましょう。



他の記事を見る


矢印 アイコンバックナンバー目次へ


飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



トップへ戻る アイコントップへ戻る

» モバイルコマース トップページ » 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー » 「主要3キャリアの07年のコマース戦略」