「携帯サイト開発のポイント(1)」タイトル

2007年1月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆23時間目
「携帯サイト開発のポイント(1)」

皆さんこんにちは、飯野です。今回から2回にわたって、携帯電話サイトの開発のポイントを取り上げます。私がこれまで携わってきた開発の経験から、押さえるべきポイントをまとめてみました。



キャリアで異なる絵文字と端末識別番号取得

携帯サイトがPCサイトと最も異なる点は、何と言っても「キャリア」の存在です。サイト開設にあたっては、NTTドコモ、au、ソフトバンクと最低3つのキャリア別にページを用意しなければならず、その際、キャリアによって作りを変えなくてはならないのは、(1)絵文字(2)端末識別番号の取得方法――の2つです。
絵文字は各キャリアによって違いますので、表示方法を変えなければなりません。自動で変換してくれるシステムも登場しているので導入するのもよいでしょう。ただし、便利な変換機能の導入によって他の一部の機能に制限がかかる場合があるので、導入の際はよく検討してみてください。
端末識別番号(キャリアによってユーザーID、サブスクライバIDなどと呼び方が異なる)は、要するに各端末を識別する仕組みのことで、これも3キャリアで取得方法が異なるので注意が必要です。

端末世代の違いに注意!

キャリアの違いの次にぶつかる壁が「端末世代の違い」です。2G、3Gの違いでサイト上の表示が大きく変わります。現在売れている端末は大半が3Gなので、思い切って2G端末イトは3G用とは別に、2G用のページを作っています。その際、画像の枚数を減らすなど容量制限に合わせて表示を簡略化する必要があります。
また、同じ3Gでも、例えばドコモとソフトバンクでは仕様が全く違います。特に、旧ボーダフォンの3G端末(発売当初から去年くらいに発売されたもの)には多くの制限があり、開発者泣かせのようです。この「ボーダフォン3G端末」だけは他のボーダフォン/ソフトバンク端末とは別物と考えてください。仕様を知らない人が作るとサイトが全く動かなくなるほどです。
ざっと代表的な制限を挙げると以下のようになります。

(1)mailtoに日本語が使えない。
(2)メールの初期設定で本文のサイズに制限がある。
(3)タグが正しく表示されない。
(4)一部表示できない文字がある。
(5)ブラウザの行数が614行まで。
(6)マーキーを点滅させられない。
(7)通信条件によりページの途中からHTMLタグがそのまま表示されてしまう。
(8)改行が2つか3つまでしか反映されない。
(9)フォーム内の中央揃えが動作しない。

……等々でこれがすべてではありません。また、大体が一部端末の制限になりますが、海外製の端末は制限が多くなる傾向にあります。
最近のソフトバンクの端末はほとんど制限がないものばかりですが、今も旧ボーダフォンの端末を利用しているユーザーはたくさんいるので、しばらくはこれらの対応が必要になるでしょう。一通りサイトが完成したと思っても、後から思わぬバグが発生する場合があるので、サイトオープン前には実機で何度もテストすることをお勧めします。

〝携帯ならでは〟の機能を盛り込め!

ショートカットキーを使ったサイトの例。急いで見たい時にとっても便利!

携帯にはPCにはないユーザビリティーの問題があります。片手の指での操作、小さい画面、パケット代――。これらは言うまでもなく、PCにはない携帯だけの性質です。この性質をいかに克服し利用するかに、企画者はいつも頭を悩ませていることと思います。ここでは、PC開発者や企画者にはそうそう思いつかない〝携帯ならでは〟の機能を、開発の視点を入れつつ考えてみます。

(1)数字ボタンをショートカットキーに
携帯にある0から9までの数字ボタン。これをショートカットキーとして活用します。例えば、検索結果を表示する際、表示結果に1から9までの数字を付けると、その数字ボタンを押せば瞬時にページ内リンクで見たい部分が見れるようになります。さらに、「TOPに戻る」は0などに固定し、全ページに入れるようにします。そうすると画面上に「TOPに戻る」というリンクが見えなくても、数字ボタンの「0」を押すとすぐにTOPページに戻ることができます(図参照)。この他にも、「次へ」が「6」、「前へ戻る」が「4」、「カートに入れる」が「1」などのパターンがあります。画像の「拡大」や「縮小」、中には検索のソートをショートカットでできるサイトもあります。特にページが長くなる検索ページでは、このショートカットキーの利用によって使い勝手に差が出るでしょう。ショートカットキーを多用するページの上部には、うまく説明書きのリンクを入れるなどの工夫が必要です。ただし、どの程度までショートカットキーを付けるかは悩みどころでしょう。実は、ユーザーが実際にショートカットキーを押したかどうかは、アクセスデータが取れないのです。これでは効果測定が難しいので、初めは直感的に数字ボタンを割り当てて試してみて、その前後のPVや売り上げで判断していくといいでしょう。ちなみに自分の周りの人に、普段、携帯のショートカットキーを使っているかを尋ねたところ、使う人と使わない人は半々でした。使っている人は、「初めは使わなかったけれど、一度使うとすごく便利だった」という意見が多く、一方使わない人は「数字があっても意味が分からない」「検索の説明なんて読まない」という人が大半でした。やはり最初から使いこなせる人は少ないようです。

(2)SSLは必要なところだけ
色々なサイトを見ていると、SSLが何度も出てきて時に鬱陶(うっとう)しく感じることはないでしょうか?SSLとはつまり、IDやパスワードなどの個人情報を携帯の基地局まで暗号化して送るシステムのこと。個人情報を取り扱うサイトには当然必要ですが、個人情報の入力ページを過ぎてからも、ずっとSSLが切れないサイトも中にはあるようです。SSLは暗号化する分負荷がかかるので、アクセスに時間がかかり、パフォーマンスが落ちます。これはユーザビリティーの面から考えるとマイナスになります。「うちのサイトは安全ですよ」というコマーシャルとしてSSLを入れたままにしている場合もあるかもしれませんが、SSLは本来、個人情報を保護するための機能。必要なところだけ必要なときにかけるのが、ベストな使い方でしょう。

(3)空メールでの登録は本当に便利?
メールマガジンの登録や会員登録の際によく使う空メールの利点は「メールアドレスの入力間違いがない」という点です。確かに、企業にとってメールマガジンなど取得する情報がアドレスのみでよく、空メールを送信(プラス自動受信)した時点で登録が完了するものはよいのですが、後からいろんな情報を入力しなければならない会員登録において空メール送信を要求するのはどうでしょうか。「登録はこちら」というリンクから空メールを送信してもらい、その後受信したメールにある登録ページのリンクからアクセスして登録……というのがよくあるパターン。しかし、アクセスした先で結局、名前や住所を入力しなければならないなら、初めから空メールなしで登録ページへ行き、一緒にメールアドレスも入力した方が登録時間は短縮できるのではないでしょうか。最近ではほとんどの端末に、文字入力の際、自分のメールアドレスを挿入できる機能が付いているので、以前より入力の間違いも少なくなっているはずです。メールアドレスの取得だけで済む登録なのか、名前や住所など多項目の入力が必要になる登録なのか、空メール機能を付ける時にはその点を考えてみてください。(つづく)



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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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