「外部連携による集客(4)」タイトル

2006年10月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆20時間目
「外部連携による集客(4)」

皆さんこんにちは、飯野です。今回はテレビ通販企業、ジュピターショップチャンネルの携帯電話ビジネス動向を取り上げます。大きな伸びを見せているテレビ通販市場で売り上げを伸ばしている同社の中島郁・Eコマースゼネラルマネージャーに話を伺いました。テレビと携帯電話の連携について、今後のヒントを探ってみましょう。



(1)新規会員の獲得はネットと携帯が強い

携帯サイト SHOP

1996年11月設立の同社は、生放送を取り入れた24時間365日運営の日本初のテレビ通販専門チャンネルとしてスタートしました。CS放送やケーブルテレビを通じ、今や全国2,100万世帯以上で視聴が可能。05年度の売上は約761億円です。

そのうちネット経由が10%、一昨年からの昨年対比で80%増と顕著な伸びを見せています。ただし、「会員数は少ない」と中島氏は言い切ります。それは、ロイヤルカスタマーが多いからです。

ネット経由の顧客はやはり新規会員率が高く、テレビ会員がネットにシフトする数とネットでの新規獲得会員数の合計により、現在のEC売上高を拡大させていると言えます。「テレビ=電話注文」は継続顧客が多く、ネットは新規顧客が多いという構図が現れてきます。

顧客単価もテレビを見て注文する既存顧客と、新規の携帯電話経由の顧客で差が見られます。携帯電話からの新規客の方が、テレビからの既存顧客より若干低いとのこと。やはり、年齢層が上である分、購買力がある分、購買力があるテレビ経由の顧客と、若い世代が多い新規の携帯電話利用者の差が出ていると言えます。テレビの方が訴求力が強く、ついで買いを促しやすいことも関係がありそうです。

次に各媒体の主力顧客層は、テレビ=40代、50代(85%が女性)、PC=30代、40代(90%が女性)、携帯電話=20代、30代(90%以上が女性)で推移しています。これは他の通販企業とあまり違いはなさそうです。

商品ラインアップは35歳以上の女性を主力ターゲットとしており、今後もその商品構成は変えない方針を掲げています。ネット経由の顧客が若年層だからと言って、若者向けの商品をそろえるという短絡的なことはやらず、現状では、主力ターゲットの絶対数を取りきるために、売り口を多数用意していく考えとのこと。売上高が伸びているからこそ言える強気な姿勢を感じます。

とはいえ、各媒体のターゲットの年代層をある程度意識することは重要です。現に、テレビで毎日紹介する「本日のお買い得商品」で年配向け商品などを紹介すると、その日の携帯経由の売上高の比率は落ちるとのことです。

(2)リモコンを携帯に持ち替えて

携帯電話サイトの運営は03年3月のドコモを皮切りに、同8月にau、ボーダフォンを開設しました。開始当時は「本日のお買い得商品」のみを販売していましたが、それでも既存の優良顧客からは大好評でした。「外出中でも今日のオススメがチェックできるから」という携帯電話ならではの理由です。

しかし売上高は非常に少なかったとのことです。当時はユーザビリティーが悪く、ショッピングカートに商品を入れるたびにログインが必要など、利便性が高いサイトではなかったと同社は捉えています。04年5月に「テレビを見ているお客に、電話、PC、携帯電話で同じサービスを提供しよう」との基本コンセプトを掲げました。

同年末にはキャリア公式メニューに入ることになりますが、「『ショップチャンネル』の知名度を上げるには、圧倒的なアクセス数を誇るキャリアの公式カテゴリーに入るのが一番」との中島氏の強い要望でした。

実際、主媒体であるテレビにおいて、携帯電話サイトのURLを告知するよりも、公式メニューのカテゴリー名を教える方がはるかにユーザーに分かりやすく、その分、新規客が増えているとのことです。

複数の媒体を持っている通販企業にとって、公式化のメリットとは、まさにこれが一番ではないかと私も思います。携帯電話に文字を打ち込むのは年齢が上であるほど面倒になるもの。携帯電話サイトの公式化はまさに、基本コンセプトである「コンタクトポイントを増やす」を実現したものと言えます。「テレビのリモコンの代わりに、ソファーの上で、手間をかけず」が携帯電話経由のお客の行動イメージだそうです。

前述したように、新規会員がネット経由で多くなったといっても、メインはやはりテレビを視聴しているお客であることに変わりはありません。そのお客(ロイヤルカスタマー)が携帯電話を受注リモコンとして使ってくれるようにイメージして、サイトを構築しているわけです。確かに、サイトのトップページには、現在テレビ放送中の商品が並んでいます。

それ以外には、A5サイズのテレビ番組表を顧客に配布しています。これは、その番組ガイドを見ながら目当ての番組を待ち受けたり、その時間帯はどんな商品を売っているかなどを調べてもらうため。この番組表はつまり、カタログと同じ効果を出しているのです。

公式化に向けて携帯電話サイトを作る上で検討したことは、基本的に「PCと同じ商品、同じ機能を盛り込む」ことでした。そして「画面上には、今一番訴求したい商品=生放送中の商品」の掲載にこだわったと言います。PCと携帯電話のURLを統一しているところも見逃せません。この点は企業によってまちまちですが、同社ではテレビを主媒体としているため、簡潔に分かりやすく入ってきてもらうことを第一に考えた結果でした。あのブラウン管でPCと携帯電話サイトの両URLを掲載するとお客を混乱させると考えたのです。

(3)今後の課題

現状の携帯電話サイトの課題として真っ先に挙げているのは、商品説明が不十分な点です。まず写真が1枚しかないということ。さらに、商品スペックはあるものの詳細の説明はほとんど掲載されていません。これは是非とも改善したいところと捉えていて、携帯電話のみで新規で入ってくるお客には使い勝手は決して良くないと考えています。

また公式サイトになった企業が必ず言うことですが、携帯電話独自のサービスは、ほとんどが現場スタッフの手運用なのが悩みのようです。

また現在のPC機能はすべて携帯電話サイトにも盛り込みたいとも考えています。例えば番組表などはPCでは見られますが、携帯電話サイトでは見ることができません。お客からは「外出先から番組表を見たい」という要望が多数あり、早く携帯にも盛り込みたい考えです。

同社は「どの媒体でも同じサービスを提供したい」という意識を強く持っています。お客から見れば、PCではできて、携帯電話だから出来ないなんて関係ないこと、どこからでも同じサービスを享受できなければならないと考えています。

(4)お客の利便性を第一に

中島 郁 氏

中島氏が常にユーザー視点を重視している通り、ネット通販はこれが第一だと私も思います。携帯電話キャリア主のプロモーション企画や最新技術などは、実は通販企業にとってほとんど売り上げに貢献しないのです。よりシンプルに分かりやすく購入させるにはどうすればいいか、それを考える時間こそ一番大事だと思います。

そして主媒体を持っている企業が間違えてはいけないことは、携帯電話はあくまでも主媒体と連動したツールだということ。携帯電話独自のサービス、商品を強調するのではなく、主媒体で紹介している商品の特徴や強みを、いかに携帯電話という媒体の独自性を活かして紹介するか。主媒体の受注方法を携帯電話でも可能に、または主媒体で購入機会を逃したときに携帯電話を使っていつも通り購入できるかが、常に基本だだと考えます。中島氏の携帯電話サイトでの目標の1つが、「3キャリアのカテゴリーメニューで一番上に載せること」。この理由も「お客の利便性が一番高いから」ということに尽きるでしょう。


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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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