「特別授業・モバイル通販市場の現状と今後」タイトル

2006年9月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆19時間目
「特別授業・モバイル通販市場の現状と今後」

皆さんこんにちは、飯野です。今回は「ネット販売白書」で総括号になるため、モバイルおよびモバイルコマース市場全体の動きと、コマースサイトの効果的な運営方法を、より読者(コマース担当者)の方の視点で書いてみます。題して「モバイルコマース、これが来る!」。



モバイルコマースの波に乗るなら、今!

この1年で、モバイル業界は目まぐるしく変化しました。3G端末の普及、フェリカの普及、ワンセグの登場、ソフトバンクの参入、グーグル等検索エンジンの導入――等々。

しかしコマース業界に最もインパクトを与えたことは、「パケット定額制の普及」です。現在、既に3人に1人はパケット定額制に加入していると言われています。そして今後も毎月、定額制加入者は増加していくでしょう。モバイルコマースにとって、これは大変インパクトのある事象です。

ユーザーは今まで、1枚の商品画像を見るのに数円、そして商品をいくつか見て登録し、決済完了までには数十円、高いと100円は取られてしまう環境でした。企業は慎重にサイト表示をしていたわけですが、ユーザーにとってはPCで買い物をした方が得ということだったのです。

ところが今後は、料金を全く気にすることなく、どんどん商品を見て、購入まで至る情報を得ることができるわけです。現在モバイルサイトを運営している通販事業者では、サイトリニューアルを何も行わなくても、購入者が増えているところが多いのです。

これは、パケット定額制加入者が増え、その分ショッピングサイトを見始めるユーザーも増加していることを表しています。もしもお客が減り、売り上げが落ちていれば、何か他の原因があるはずです。

今後1~2年、パケット定額制が完全に普及するまで、毎月ずっとお客が増えていくことになります。近い将来、ソフトバンクがとんでもない安いパケット料金設定を売り出すかもしれません。そうすると他キャリアの定額料金にも影響するため、通販企業にとっては相当な追い風になると思います。

そこでサイト運営者は今のうちからサイトの内容をリッチにして、新規ユーザーを飽きさせないような仕組みやサービスを構築する必要があります。

私はよく「モバイルコマース業界は、PCコマースと比べ、5年遅れだ」と言っています。1997年、楽天が創業したときは13店舗だったそうです。 2000年当時でも2000店舗。その時代はPCの環境が一般家庭まで浸透しておらず、回線スピードも遅かったことを思い出してください。

しかし、今やどこの家庭でも1台は設置され、光回線になり、一般の主婦達が気兼ねなく買い物ができる環境になりました。それから6年たった今は、企業が当たり前のようにPC上で商売をしています。

モバイルは、まさにそのスタートの年に入っています。そしてこれからの5年、モバイル上での商売は当たり前になります。それもPCのスピードをはるかに凌ぐ速さで。既にモバイルの普及台数はPCより多い状況であり、企業は遅かれ早かれ参入せざるを得ない状況なのです。是非1日も早く、モバイルサイトを立ち上げ、この大きな波に乗ってみてください。

モバイルで売れないものはない

モバイルで売れないものはありませんが、PCと全く違った見せ方や売り方が必要です。私は、これからモバイルサイトの構築を考えている企業に対して、現在のPCでの売上高の最低10%はモバイルで確保できるということを常に話しています。

稟議をあげる担当者からすると、PC年間売上高の10%分はがあります。「PC売上高の10%」というのは、モバイルコマース企業の多くがこの「10分の1ルール」に該当しているからです。

冒頭でも伝えたように、まだ定額制加入者は3分の1。よって、単純計算すると、その3倍の数の人が黙っていても入ってくることになります。結果、PC売上高の30%を稼げるツールになることを意味します。最大30%分の利益をモバイル初期投資に当てることができるかどうか。これが最初の経営判断です。

売る場所があれば、即モバイルに参入すべし!

店舗、カタログ、雑誌、DM、TV、ラジオ、PC等小売の形態は様々ですが、これらのデバイスを持っている企業は、すぐにモバイルコマースに参入するべきです。

多くの通販実施企業がモバイル以外のデバイスを主な媒体とし、モバイルはあくまで補完ツールとしています。

しかし中には、モバイルだけで全売上高の50%以上を稼ぐ企業もわずかながら存在するのです。

このモバイルコマースが追い風にある中、今後はそういった企業が多数出てくることでしょう。まだモバイルコマースに未参入の企業、売り上げが思うように付いてこない企業は、ぜひモバイルコマースに力を入れることをおすすめします。

<店舗を持っている企業>

店舗を持っている企業では来店客の1%もモバイルサイトの会員になっていないのが現状です。これは非常にもったいないこと。来店するということは少なくとも好意的だから来店する行動を起こしているわけであり、通販側から見ると「見込み客」なのです。

冷やかし客でもVIPでも、少なからず店舗だけで購入させるのは限界があります。そこで肌身離さず持っているモバイルの出番となります。まずは徹底的にメールアドレスを取ること。これに尽きます。そしてその見込み客に対して、店長やスタッフしか知らないような情報(来週のお買い得情報など)を流してあげてください。

モバイルで見込み客を作るのは大変コストがかかります。このため、店舗に入ってくるお客をそのまま帰してはいけません。是非活用すべきです。最初は再来店をさせる情報だけでいいので、とにかくメールを使い、1日でも長くその企業と付き合ってもらう努力を今すぐ行ってみてください。

<カタログを持っている企業>

カタログ通販は、既に自宅でくつろいでいるお客が主な対象になっているはずです。よって、今まで電話やFAXで注文していたお客が単純にモバイルへ移行する結果、売り上げは同じという考え方もあります。

しかし受注コストは明らかに下がるはずです。オペレータの代わりにモバイルのシステムが働いてくれるからです。今やはがきやFAX受注を中止した企業もあるほどで、カタログ企業にとって受注コストの抑制は真剣な問題です。

もちろんPCからの注文もあるはずですが、PCは肌身離さず持っているツールではなく、また電源を立ち上げる時間が必要なため、その間に企業にとっては販売機会が損なわれることが予想されます。欲しいものは今すぐ買いたいというのが人間の行動パターンだとすると、モバイルにはPCよりも早く買わせてあげられる可能性があります。店舗と同様、自宅でカタログを見なくても購買機会を得られるようなモバイルコマースの展開により、企業の販売機会が拡大することは間違いありません。

モバイルコマース、これが来る!

私が最も一番注目している市場は「主婦」層です。主婦の自分のPCを所有するシェアはまだ低いですが、モバイルは大半の人が持っています。メールも非常に頻繁に使います。しかし、まだパケット定額制に入っている人数は少ない。これはまさに「主婦のためのモバイルコマース」といっても過言ではありません。

そのほか、「商品の重量が重いもの」「水や酒など定期的に消費するもの」「ブランド品などの限定品」「中古品」「会員や見込み客が1万人以上の市場」「ダイエットや育毛など人に言えないコンプレックス解決商品」「オタク市場」――なども注目しています。

最近のコマース市場で目立っている「洋服・ケーキ・アクセサリー・CDなど」は対象がすべてF1層に限定されています。これはこの層のモバイルの利用が高いから必然的にそうなり、またF1層を対象とする企業から先にモバイルコマース市場に出ているからです。

しかしまだ、全国小売業法人数の1%もモバイルコマースに参入していないと言われています。これからは加速度的に多数の企業が参入してくることでしょう。

3キャリアの公式化以外にも検索エンジンの利用を筆頭に告知方法が広がってきます。遅かれ早かれ参入せざるを得ない状況だと先にも言いましたが、だとすると参入する時期はこの1~2年が勝負。すべてのユーザーがパケット定額制を利用し、モバイルでのショッピングが当たり前となる時代が、すぐそこまで来ているのです。


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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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