「外部連携による集客(2)」タイトル

2006年7月 通販新聞社 月刊「ネット販売」連載記事バックナンバー

携帯電話を「通販ツール」に進化させるプロフェッショナル育成講座 タイトル ビジネス感度を高めで受講のこと

連載◆17時間目
「外部連携による集客(2)」

皆さんこんにちは、飯野です。前回からのテーマ「外部連携による集客」の実例として、今回は良品計画を取り上げます。同社は実店舗「無印良品」とネット通販を展開し、年商1300億円、店舗数300店舗を超える規模。携帯サイトは開設から3年弱が過ぎ、いまや前年度比50%増の勢いで売上を伸ばしている中でも、運営の課題などがあるようです。



(1)FAX代用ツールとして運営開始

03年11月 携帯サイト3キャリア勝手サイト開設
04年 1月 ドコモ公式サイト開設2月「無印良品 春カタログ」掲載
05年 5月 KDDI公式サイト開設
06年 6月 ボーダフォン公式サイト開設

勝手サイト時代からドコモ公式サイトに照準を合わせていたため、公式化は4カ月で開設にこぎつけました。その誘導顧客数や売上は、勝手サイトと比較すると3倍に拡大。また「春カタログ」に初めて携帯サイトを告知したところ、通常の2倍の売上があったそうです。ちなみに06年現在は、勝手サイト当初と比較して20倍にまで成長しています。携帯通販がそれほど浸透していなかった時期でも、公式サイト化により、これだけの変化があったということを示しているのは確かでしょう。

もちろん、企業のブランド力や商品力なども影響されているので、すべての企業がこれほど数字を上げられるわけではありません。

しかし、大半の企業が携帯通販に注目していなかった時代に、なぜ、携帯公式サイトで商売を始めようと思ったのでしょうか。

同社は2000年にネット部門を設立し、PC上で販売を開始しました。02年には通販のFAX受注率が通販全体売上の3割にも達していましたが、その年の夏を境にFAX受注比率が下がっていたのです。そこで、FAXに代わるものを見つけようと考えた結果、行き着いたのが携帯通販だとのことです。

この現象は「カタログ通販業者」は皆同じではないでしょうか。つまり、FAX受注率が下がる分、違うデバイスを見つけて売上を補完していくことを考えるということです。ただし、これほど素早く行動してしまう企業は少ないかもしれません。

その当時は、まだドコモのショッピング系公式サイト数は少なく、承認をとるのも今ほど難しくはなかったはずです。ドコモ公式サイト化の半年後には、カタログFAX受注売上を携帯売上が抜いてしまったそうです(現在はFAXでの受注は行っていないとのこと)。

(2)カタログ受注ツールからの脱却がカギ

携帯サイトを開設した当初は、顧客からの問い合わせや、クレームもよくあったようで、メールでの問い合せは、そのすべてをその日中に解決するよう努めたそうです。例えば、「似たような商品名が並び、商品が特定しづらい」というクレームが入った場合は、商品DBのマスターを名称変更したり、商品の仕様欄にテキスト文章を増やしたりというようにです。

これを3年間継続したのが、現在のサイトとなっているわけです。大規模なシステム刷新をすることなく、細かな刷新を丹念に毎日行うことで、使いやすいサイトができてくることになります。やはり最終的には、現場はアナログなのですね。依然として、写真が見づらいなど課題は残りますが、PCサイトの情報を携帯版にすべて縮小して出すことにいつも気を遣ってきたようです。すべてを連携させて、携帯サイト上でも見栄えよく、限られた画面でいかに売上を上げるかを毎日考えた結果、現在は、PCと携帯での売上商品構成比率が同じになっているとのこと。同社は家具、雑貨、服飾といろいろなカテゴリーの商品を扱っていますが、PCと携帯で、同じ売上構成比率というのが特徴です。

客単価もPCと携帯で同程度の高さを維持している点も重要視しなければいけません。これは、携帯が店舗に置かれた季刊カタログ(「春夏号」「秋冬号」合わせて数百万部発行)を見ながらの注文端末として機能している側面もあることが要因となっています。つまり、カタログで高単価の大型家具などをじっくりと選んで買うケースが多く、携帯経由の購入でも高単価になるということです。店舗の販促媒体でもあるこのカタログは、携帯への集客ツールとして大きな効果を発揮していると言えます。

しかし、ネット部門率いる責任者の川名氏は「ネット部門は実際、カタログに甘えてしまっている感がある」と言います。カタログを持っていないユーザーに携帯サイトに来てもらい、携帯だけで購入してもらうようにすることが現在の大きな課題だと断言します。

そのため、今年末、システムを抜本的に刷新する予定とのこと。満を持してネットに力を入れるといったところのようです。これにより携帯サイトも大きくバージョンアップされるはずです。

(3)携帯向けのサイト構成が必要

制作面でも携帯ならではの苦労があるようです。携帯サイト担当者の丹野氏によると、携帯の機種によって画面サイズが異なるため、表示する文章や画面も機種によってまったく違う見え方になってしまうとのこと。この問題を解決すべく、一番いい塩梅の文面構成を考えることに苦労すると丹野氏は言います。少し長い文章を入れると、携帯画面ではものすごく長い文章に見えてしまって買う気を失わせてしまい、逆に短い文章にすると意味していることが分かりづらいなど、悩みは尽きないようです。この点ではPCの方が制作は楽と言えそうです。

最近ではソフトウエアハウスによる画面自動識別表示というものがれ出ていますが、それでも全機種に対応することは困難です。やはり、最後は人間の目を通して、微修正をかけることが求められます。

丹野氏は一番の悩みとして、PCでの情報を携帯で同様に訴求しようとすると、必ず何かの情報を削り、逆に情報を追加しなければならないことを挙げます。直近の売上動向を見ながら、一番売れそうな商品を前面に出そうと試行錯誤。PCで売れている商品が携帯でも売れるかというと、必ずしもそうでもないらしいのです。

特に衣服は難しいとのこと。その理由は、1.写真を多く見せられない(サイトページのデータ容量が限られるため写真で見せる枚数に限界がある)2.衣服の詳細が分かりづらい(画面サイズが小さいため、細部の写真が見せられない)――などと分析しています。

同社には、レース模様などディテールの部分をしっかり見せれば売上が上がるというPC衣料通販の法則があるようですが、携帯では至難の技とのこと。最近は液晶画面も綺麗になりズーム機能などもありますが、所詮、携帯画面の小さい中での世界です。表現力はPCと比べ物になりません。携帯で画像を多く使い、且つ、詳細情報を多く見せると売上が上がるどうか、皆さん、是非試してみてください。

(4)こまめな更新・アプローチを

お話を伺っていると、やはり「手軽に更新できるサイト」が事業者にとっては一番望ましいようです。というのは、携帯は毎日身に付けているものですから、サイトも毎日見てもらえる可能性があるはず。その分、事業者はページの更新を毎日行うことが当然となるからです。

例えば、出した商品の売れ行きが芳しくなかった場合、翌日には違う商品を入れられるなど即時対応が可能になります。

しかし、無印のサイトの更新頻度は週に1回。メールマガジンの配信も週1回ですが、その配信日は通常の5倍のアクセス数があるとのこと。極端に言えば、メールを毎日配信できるようなれば、更にアクセスが増える可能性は高まります。ユーザー側としては、メールニュースの中に自分の気になるトピックスがあればアクセスしたくなりますよね。

PCメールは1回に送りたい情報をすべて盛り込めます。しかし携帯の場合、それでは文章が長くなりすぎてしまい、全部を見てもらいにくくなります。丹野氏の「ユーザーが興味のあるトピックスだけを小出しに送り、その代わり配信回数を多くして、結果的にPCと同じ情報量になればいい」という考えに私も同感です。

携帯のメール配信では、いつも身に着けているという携帯の特性を活かすことが重要になります。伝えたいトピックスを1回ですべて送るのではなく、1つのトピックスを5回に分けてこまめに送る方が顧客囲い込みに適しているということが言えます。アプローチを細かく行い、ユーザーとの接触を増やすことが、カタログだけに依存しない、携帯上だけでの売上拡大につながるカギになりそうです。


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飯野勝弘プロフィール

飯野勝弘プロフィール

日本IBM㈱にて法人営業後、大手通販会社の通販部門責任者を経て、 ㈱MTI(ジャスダック上場企業)執行役員モバイルコンテンツ事業部長として、公式コンテンツ300サイト以上の立ち上げを経験。現在㈱モバイルコマース代表取締役として、全国の通販企業の携帯サイトコンサルティング業務を行う。
主業務に携帯サイトの設計企画、3キャリアへの公式承認代行(完全成功報酬制)、サイト開発、運営、売上UPコンサルティング、セミナー等 幅広く活動中。毎月4キャリア(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・ウイルコム)へ通販企業様の公式サイト提案を行っている。数社のIT企業役員も兼務。


連絡先:東京都世田谷区用賀2-38-14 青木ビル 4階
電話03-3700-5259



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